December 30, 2005

◇フィリピンの英雄

 日本では、つい数日前のクリスマスの余韻に浸ることもなく、というよりクリスマスはほとんど見事に跡形もなく、全国民、次なるターゲットはもうお正月(のはず)。
しかし、フィリピンはちがいますよ。 なんといっても「世界一長いクリスマス」の国。クリスマスの始まりが早ければ、終りも遅い。まだまだお祭りムード、イルミネーションもまだ健在。 この流れはニュー・イヤーまで持ち越されます。

 フィリピンでは、今日12月30日は全国的にお休み。 「日本もお休みだ」って?
そうだけど、日本のように、お正月休みに入ったわけではありません。 フィリピンでは「祝日」なのです。 そう、RIZAL DAY (リサール・デイ)。 《フィリピンの英雄、JOSE RIZAL(ホセ・リサール)》が処刑された日。

BOOK RIZAL JOSE RIZAL は、フィリピン独立運動の闘士にしてフィリピンの国民的英雄。また、医師、言語学者、詩人、作家、画家という多彩な天才でありました。

作家としての代表作は、スペイン語で書かれた
◆「NOLI ME TANGERE (ノリ・メ・タン・ヘレ=我に触れるなかれ)/−わが祖国に捧げる−」 と、
◆「EL FILIBUSTERISMO (エル・フィリブステリスモ)/反逆・暴力・革命」

スペイン圧政下に苦しむ植民地フィリピンの現状が克明に描き出されており、フィリピン人の間に独立への機運を高めた、と言います。



BOOK RIZAL NORI 2 
 ◆ ノリ・メ・タンヘレ―わが祖国に捧げる
 発行:井村文化事業社 /訳:岩崎 玄 (ISBN : 4326910011)

《フィリピン生まれのスペイン人の父とフィリピン人の母をもつ、クリソストモ・イバラが主人公。物語は、イバラが遊学先のヨーロッパから帰国したところから始まります。》

初版はベルリンで1887年に発行されたそうです。 
左写真の訳書には、トビラに初版本複写が用いられています。


この訳書の第1刷は1976年1月に発行されました。 私が所有しているのは第2刷、1986年発行のもの。 Amazon に掲載はされていますが、『この本は現在お取り扱いできません。』というコメント付きでした。残念!


◎ NOLI ME TANGERE オリジナルカバー
 BOOK RIZAL NORI 1 
 フィリピンでは、超有名な表紙。

 MAKATI(マカティ) のAYALA MUSEUM (アヤラ博物館)には紀元前の狩猟風景から、1948年の共和国宣言までフィリピンの歴史を表現したジオラマ(立体模型)が展示されていますが、そこの1場面に登場するミニチュア化されたNOLI ME TANGERE もこの表紙です。



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BOOK RIZAL EL 
 ◆エル・フィリブステリスモ−反逆・暴力・革命
 発行:井村文化事業社 /訳:岩崎 玄 

《「ノリ・メ・タンヘレ―わが祖国に捧げる」と2部作をなします。今回の主人公は、シモウン。巨万の富をもつ『宝石商』とはいいますが、さてその正体とは?》

この訳書も第1刷は1976年(6月)の発行です。 Amazon では、検索もできません。別のサイトではヒットはしましたが、やはり「絶版、または重版未定」とのこと。一度も重版されていないのでしょうか、私が所有するものは、第1刷です。


RIZAL DAY を機に、もう一度これら2冊を読み返してみようと思っています。


     ●○● おまけ色々 ●○●
           ↓



◎ その他の書籍

■ 見果てぬ祖国

2部作「ノリ・メ・タンヘレ―わが祖国に捧げる」と「エル・フィリブステリスモ−反逆・暴力・革命」を翻案者、村上 政彦氏が一部加筆し、1本化したということで、この案には賛否両論有り。

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■ Noli Me Tangere (Shaps Library of Translations)

 UNIVERSITY OF HAWAII 発行 (スペイン語版)

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■ ホセ・リサール伝―伝記・J・リサール
 花野 富蔵 (著)



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◎ JOSE RIZAL UNIVERSITY 運営による JOSE RIZAL のサイト




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