January 22, 2006

◇フィリピンの言葉 〔5〕−料理編

 フィリピン料理には、スペイン風の名前で呼ばれているものがあります。

だからといって、スペイン風の料理かといえばそうではなく、では生粋のフィリピン料理なのかといえば、またそうでもなく・・・・。
実は、見た目は中華料理!


名前はスペイン語、見た目は中華料理、でもフィリピンではポピュラーな定番料理。
そんなハロハロ(フィリピン語で「ごちゃ混ぜ」)な料理がいくつかあります。

■《AMPALAYA CON KARNE
AMPALAYA CON KARNE 代表的なものが、《AMPALAYA CON KARNE(アンパラヤ・コン・カルネ)》。 

AMPALAYA(アンパラヤ)”は「ニガウリ」。 AMARGOSO(アマルゴソ)とも呼ばれることもあります。(AMARGO は確かスペイン語で「苦い」)

CON(コン)”は、スペイン語で「〜と共に」、英語の「WITH」と同様。

KARNE(カルネ)”は、肉。 スペイン語のCARNE がフィリピン語風に「C」が「K」 に変えられ、フィリピン語となっています。(もともとのフィリピン語のアルファベットは20文字でその中に「C」は含まれませんが、外来語等の表示に使われます。)

ようは、『ニガウリと牛肉の炒め物』です。

どう見てもスペイン料理には見えませんよね。 家庭によって味付けは様々ですが、写真はブラック・ビーンズ(豆鼓=トウチ)で味付けたもの。



■《ARROZ CALDO
ARROZ CALDO 
 こちらは、 《ARROZ CALDO(アロス・カルド)》(又は、ARROZ CON CALDO)。

ARROZ(アロス)”は、スペイン語で「米」、”CALDO(カルド)”もスペイン語の「汁」。 
つまり「お粥」。 
もっとフィリピン的に《LUGAW(ルーガウ)》と呼ばれることもあります。





 あと、《LUMPIANG FRITO(ルンピアン・フリトー)》→「揚げ(フリトー)春巻き(ルンピア)」や、《SOPA DE NIDO(ソパ・デ・ニド)》→「ツバメの巣(ニド)のスープ(SOPA)」といったように、中華料理はフィリピン語ではなく、スペイン語の名前がついています。

さて、それは何故でしょう?
フィリピン料理のレストランは、実はまだ歴史が浅く、スペイン統治時代のレストランというと、中華料理であったと言われています。
又、外食ができるのはエリート階級、すなわちスペイン人。
ですから、外食するスペイン人のために、中華料理名をスペイン語で表示したのだそうです。 現在残っている呼び名は、「完璧にスペイン語」というより「フィリピン語風、スペイン語」ですが。



もうひとつ興味深いのは、「−−屋」をあらわす「−−RIA(リア)」というスペイン語の表現。
例えば、スペイン語で PANADERIA(パナデリア)は、パン(PAN)屋。LIBRERIA(リブレリア)は、本(LIBRO)屋。
CAFETERIA (カフェテリア)を例に挙げるとわかりやすいですね。

この表現方法まで、フィリピン語にあてはめたのが、《PANCITERIA(パンシテリア)》。
中国がもたらした麺類は、総称して ”PANCIT (パンシット)"と呼ばれています。 もちろんスペイン語ではありません。が、スペイン語の「−−屋」の法則に基づいてつけられたと推測できるのがこのパンシットを売る店(パンシットを出すレストラン)の《PANCITERIA(パンシテリア)》。

起源は中国、料理方法はフィリピン風、そして呼び名はスペイン語風、
もう、頭がゴチャゴチャになってきました・・・・・。





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この記事へのコメント
はじめまして!いつも楽しく読ませていただいてます。
主人がフィリピン人で家でもフィリピン料理の特訓中です。
今はほとんど日本でもフィリピン料理を作る食材が手に入りますね。
スープもの、麺料理は日本人の友達にも好評です。
これからも楽しみにしております。
Posted by MAI at January 23, 2006 17:52
MAIさん、
コメントありがとうございます。
当ブログは、どうも男性の読者が多いようで・・・・。
女性の方がレギュラー読者になっていただけるのは、
うれしいかぎりです。
今後とも、よろしくお願いします。
面白いエピソードなどあれば、投稿ください。
Posted by harana at January 24, 2006 10:05