February 17, 2006
◇フィリピン語のお勉強 〔1〕 - 料理名から学ぶ
前回の記事、《”ちょっと” 気になる フィリピンの習慣 - 「曜日」編》にセブ在住の SHIN さんより興味深いコメントをいただきました。
スペイン語の影響を受けたタガログ語のことを記事にしたつもりですが、ビサヤ語は、それ以上にスペイン語の影響力が強いようです。詳しくは、 SHIN さんのコメントをご覧ください。
□ ■ □ ■ □
さて、本日の本題です。
外国語の単語や文法を、参考書だけで覚えるのは楽なことではありません。
でも勝手なもので、何か自分の興味があるものに関連づけると、案外身につくものです。
フィリピン料理のメニューを見ているだけでも、結構お勉強になります。
文法的に詳しく解説できるほどの知識は持ち合わせていませんが、知っていると役に立つこともあるやもしれませんので、いくつか例を挙げてみます。
◆ADOBO(アドボ)と SINIGANG(シニガン)◆
どちらも南国ならではの知恵が詰まった、フィリピン料理の代表選手です。
「ADOBO(アドボ)」は、酢、ニンニク、醤油、胡椒などで調理した料理の総称。
酢をふんだんに使うことで腐敗を防ぎます。
一方 「SINIGANG(シニガン)」は、SAMPALOC(サンパロック=タマリンド)というマメ科の植物で酸味をつけた酸っぱいスープ。 暑さの中も、この酸味が食欲を増進させます。
「ADOBO(アドボ)」には、ポーク(=BABOY バボイ)、チキン(=MANOK マノック)、イカ(=PUSIT イカ)、空芯菜/または朝顔菜(=KANGKONG カンコン)など、様々な種類があり、それぞれ具材名をつけて呼ばれます。
・ポーク(=BABOY バボイ)の場合は、ADOBONG BABOY(アドボン・バボイ)、
・チキン(=MANOK マノック)は、ADOBONG MANOK(アドボン・マノック)、
・イカ(=PUSIT イカ)は、ADOBONG PUSIT(アドボン・プシット)、
・空芯菜(=KANGKONG カンコン)は、ADOBONG KANGKONG(アドボン・カンコン)
と、いう具合に。
お気づきでしょうか? ADOBO のあとに NG がついているのを。
では、次は 「SINIGANG(シニガン) 」です。
SINIGANG も ADOBO 同様、メインとなる具材があります。 ポーク(=BABOY バボイ)、ビーフ(=BAKA バカ)、エビ(=HIPON ヒーポン/大きいエビは SUGPO スグポ)などをメインに、大根(=LABANOS ラバノス)や ナス(=TALONG タロン)、ササゲ(=SITAW シータウ)などの野菜(=GULAY グーライ)を入れます。こちらもそれぞれのメインの具材名をつけて呼びます。
・ポーク(=BABOY バボイ)の場合は、SINIGANG NA BABOY(シニガン・ナ・バボイ)、
・ビーフ(=BAKA バカ)は、SINIGANG NA BAKA(シニガン・ナ・バカ)、
・エビ(=HIPON ヒーポン)は、SINIGANG NA HIPON(シニガン・ナ・ヒーポン)。
お気づきですか、ADOBO との違い?
ふたつの単語を繋ぐのに、前の単語が母音で終わっている場合(この場合は ADOBO の" O")は、 ”NG” が前の単語の最後にくっつきます。
前の単語が子音で終わっている場合(この場合は SINIGANG の "G")、前の単語と後の単語の間に ”NA” が入ります。
これって、「繋辞」でよかったのかなぁ? なにせ、私はタガログ語のドロップアウト組なので・・・。 これ以上は文法の本でお勉強してください。
無責任発言をしていますが、もう少し例を挙げます。
おなじ 「SINIGANG(シニガン)」で、こんなのもあります。
”SINIGANG NA ULO NG ISDA(シニガン・ナ・ウロ・ナン・イスダ)”− ISDA(イスダ=魚)の ULO(ウロ=頭)がメイン具材の SINIGANG(シニガン)、つまり「魚の頭入りシニガン」です。
ULO NG ISDA(ウロ・ナン・イスダ)、この場合、二つの単語の間に位置する NG は「魚の」の「の」にあたります。
左の写真は ”KINILAW NA ISDA SA GATA(キニラウ・ナ・イスダ・サ・ガタ)”
「KINILAW(キニラウ)」は酢で〆た料理の総称。ISDA(イスダ=魚)のKINILAWです。
これに SA GATA がついて、SA は英語の前置詞 IN や AT のようなはたらき、 GATA はココナッツミルク(またはココナッツクリーム)、だから酢でしめた魚を更にココナッツミルクの中にいれたもの。
「KINILAW(キニラウ)」は、 「KILAWIN(キラウィン)」とも呼ばれます。生姜(=LUYA ルーヤ)、唐辛子(=SILING LABUYO シリン・ラブヨ)も入ってかなりスパイシー。こちらも暑い国の生活の知恵から生まれた料理と言えるでしょう。
★フィリピン、特に首都マニラでは十分に英語が通じるので、レストランでも不自由することはありませんが、料理名の多くは現地名(または英語とのミックス)なので、少なくても料理名や材料の現地語を覚えておくと便利です。
(レストランによっては、メニューに英語名表示や英語による説明を記載しているところもありますが)
☆★☆ ADOBO と KINILAW の本 ☆★☆: 詳細は 《ALL ABOUT PHILIPPINE FOOD》 に
◆ The Adobo Book:
ISBN 9712715485
◆ KINILAW :
ISBN 9715690149
スペイン語の影響を受けたタガログ語のことを記事にしたつもりですが、ビサヤ語は、それ以上にスペイン語の影響力が強いようです。詳しくは、 SHIN さんのコメントをご覧ください。
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さて、本日の本題です。
外国語の単語や文法を、参考書だけで覚えるのは楽なことではありません。
でも勝手なもので、何か自分の興味があるものに関連づけると、案外身につくものです。
フィリピン料理のメニューを見ているだけでも、結構お勉強になります。
文法的に詳しく解説できるほどの知識は持ち合わせていませんが、知っていると役に立つこともあるやもしれませんので、いくつか例を挙げてみます。
◆ADOBO(アドボ)と SINIGANG(シニガン)◆
どちらも南国ならではの知恵が詰まった、フィリピン料理の代表選手です。
「ADOBO(アドボ)」は、酢、ニンニク、醤油、胡椒などで調理した料理の総称。
酢をふんだんに使うことで腐敗を防ぎます。
一方 「SINIGANG(シニガン)」は、SAMPALOC(サンパロック=タマリンド)というマメ科の植物で酸味をつけた酸っぱいスープ。 暑さの中も、この酸味が食欲を増進させます。
「ADOBO(アドボ)」には、ポーク(=BABOY バボイ)、チキン(=MANOK マノック)、イカ(=PUSIT イカ)、空芯菜/または朝顔菜(=KANGKONG カンコン)など、様々な種類があり、それぞれ具材名をつけて呼ばれます。
・ポーク(=BABOY バボイ)の場合は、ADOBONG BABOY(アドボン・バボイ)、
・チキン(=MANOK マノック)は、ADOBONG MANOK(アドボン・マノック)、
・イカ(=PUSIT イカ)は、ADOBONG PUSIT(アドボン・プシット)、
・空芯菜(=KANGKONG カンコン)は、ADOBONG KANGKONG(アドボン・カンコン)
と、いう具合に。
お気づきでしょうか? ADOBO のあとに NG がついているのを。
では、次は 「SINIGANG(シニガン) 」です。
SINIGANG も ADOBO 同様、メインとなる具材があります。 ポーク(=BABOY バボイ)、ビーフ(=BAKA バカ)、エビ(=HIPON ヒーポン/大きいエビは SUGPO スグポ)などをメインに、大根(=LABANOS ラバノス)や ナス(=TALONG タロン)、ササゲ(=SITAW シータウ)などの野菜(=GULAY グーライ)を入れます。こちらもそれぞれのメインの具材名をつけて呼びます。
・ポーク(=BABOY バボイ)の場合は、SINIGANG NA BABOY(シニガン・ナ・バボイ)、
・ビーフ(=BAKA バカ)は、SINIGANG NA BAKA(シニガン・ナ・バカ)、
・エビ(=HIPON ヒーポン)は、SINIGANG NA HIPON(シニガン・ナ・ヒーポン)。
お気づきですか、ADOBO との違い?
ふたつの単語を繋ぐのに、前の単語が母音で終わっている場合(この場合は ADOBO の" O")は、 ”NG” が前の単語の最後にくっつきます。
前の単語が子音で終わっている場合(この場合は SINIGANG の "G")、前の単語と後の単語の間に ”NA” が入ります。
これって、「繋辞」でよかったのかなぁ? なにせ、私はタガログ語のドロップアウト組なので・・・。 これ以上は文法の本でお勉強してください。
無責任発言をしていますが、もう少し例を挙げます。
おなじ 「SINIGANG(シニガン)」で、こんなのもあります。
”SINIGANG NA ULO NG ISDA(シニガン・ナ・ウロ・ナン・イスダ)”− ISDA(イスダ=魚)の ULO(ウロ=頭)がメイン具材の SINIGANG(シニガン)、つまり「魚の頭入りシニガン」です。
ULO NG ISDA(ウロ・ナン・イスダ)、この場合、二つの単語の間に位置する NG は「魚の」の「の」にあたります。
左の写真は ”KINILAW NA ISDA SA GATA(キニラウ・ナ・イスダ・サ・ガタ)”
「KINILAW(キニラウ)」は酢で〆た料理の総称。ISDA(イスダ=魚)のKINILAWです。
これに SA GATA がついて、SA は英語の前置詞 IN や AT のようなはたらき、 GATA はココナッツミルク(またはココナッツクリーム)、だから酢でしめた魚を更にココナッツミルクの中にいれたもの。
「KINILAW(キニラウ)」は、 「KILAWIN(キラウィン)」とも呼ばれます。生姜(=LUYA ルーヤ)、唐辛子(=SILING LABUYO シリン・ラブヨ)も入ってかなりスパイシー。こちらも暑い国の生活の知恵から生まれた料理と言えるでしょう。
★フィリピン、特に首都マニラでは十分に英語が通じるので、レストランでも不自由することはありませんが、料理名の多くは現地名(または英語とのミックス)なので、少なくても料理名や材料の現地語を覚えておくと便利です。
(レストランによっては、メニューに英語名表示や英語による説明を記載しているところもありますが)
☆★☆ ADOBO と KINILAW の本 ☆★☆: 詳細は 《ALL ABOUT PHILIPPINE FOOD》 に
◆ The Adobo Book:
ISBN 9712715485
◆ KINILAW :
ISBN 9715690149