May 02, 2006

◇フィリピンのファブリック 〔3〕-ABACA(アバカ)

バナナにそっくりで同じバショウ科に属する植物 ”ABACA(アバカ)”は、非常に使用目的の多い重要な自然素材です。
日本では、「マニラ麻」あるいは、「マニラ・ヘンプ(MANILA HEMP)」とも呼ばれています。

当ブログで既に紹介した、T'boli族の手織布 "TINALAK(ティナラック)" もアバカを織った布です。
今回、≪フィリピンのファブリック≫というタイトルにはしましたが、アバカ製品はファブリックだけではありません。
ロープや紙幣の原料であることはよく知られていますが、アバカにはまだまだ使い道があります。

BOOK ABACA1
300ページにわたり、750枚ものカラー写真付でアバカの全てを解説した、貴重な本が出版されました。
その名も ABACA Philippines

今回はアメリカの Amazon.com.で購入可能です。(今のところ日本の Amazon では買えません。)
ちなみに、Amazon.com では US$95.-
フィリピン現地では、3,900ペソ。

「アバカの歴史」、「繊維とその種子のユニークな特性」、「繊維抽出のプロセス」など、アバカに関する基礎知識、そして従来のアバカ製品はもとより最新の製品情報など、グローバルな傾向とアバカ産業の見通しのための役に立つデータベースと言えるでしょう。



BOOK ABACA2
この本を手にして、少々興奮気味です。

アバカが化粧品やスキンケア用品、ソーセージのケーシングに使われていたなんて・・・。
紅茶のティーバッグやコーヒーフィルター、薬のカプセル、あぶらとり紙、建築資材、これらもアバカ。
種からは、アバカオイル。
車のボディに、従来のグラスファイバーにとってかわる素材としても注目されているアバカ。

ココナッツも利用価値のある植物ですが、アバカもそれに負けず劣らず。
恐るべし、フィリピン植物!

この本からは、アバカのもつ底力を感じさせられます。


おなじみのアバカ製品であるロープや家具(ソファーやベッド)から、なにかゴツゴツした素材のようなイメージがありますが、ファブリックになったアバカはとても繊細。種類によっては、ふわっとして、透明感があり、ファッションやインテリアの分野で、今後大活躍しそうです。
(実際、カルバン・クラインは何年も前からアバカファブリックをコレクションに取り入れているそうです。)
     ABACA

   左:ABACA-POLY (アバカ&ポリエステル)/右:ABACA-SEDA (アバカ&シルク)



アバカを知るための日本語サイト

マニラ麻の知識

マニラアサ(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

「メルセデスベンツの外装材へのマニラ麻の採用」 (日経エコロジー)


           ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
book abaca
ABACA Philippines
 出版:Luis R. Villafuerte
 著者:Lalaine Villafuerte-Abonal
 ISBN: 9719227540




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この記事へのコメント
5
ナショナルブックストアで「ABACA Philippines」売ってたので買いました。ちょっと高いなと思ったけど、充実した本ですね。製本もしっかりしているし、写真も素晴らしい。只今、英語を解読中。
Posted by ipi-p at May 11, 2006 14:51
5
アバカは、メルセデスやボルボを始めとした自動車メーカが注目している素材です。この本にも、後ろの方に書いてありますね。たしかメルセデスは、既に内装材に使用していたと思います。
Posted by ipi-p at May 11, 2006 14:54
ipi-p さん、
買われましたか、 ABACA Philippines、素敵でしょ?
出版物まで、どんどん良くなってきていますよね。
私がフィリピン料理を調べ始めた頃なんて、再生紙。 たまに写真が掲載されていたとしても、モノクロ。おまけに印刷が悪いからなんの写真が判別不可(笑)

メルセデスの件、ここ(↑)に掲載した「日経エコロジー」の記事では、「外装材」とのこと。 そのままリンクしましたが、そのずっと以前に私が入手した情報では、「床材」としての採用が決まった、ということでした。(ショップの TINALAK のページに書きましたが。 → http://www.online-harana.com/catalog/2-01ethnic.htm)

英語解読完了したら、またご意見など、ヨロシク!
(私もまだ完読していません、実は。)
Posted by harana at May 11, 2006 15:18
5
212ページから登場しているモデルは「マルコス」の娘さん。これには驚きました。
Posted by ipi-p at May 11, 2006 15:52
さすが、写真家さん。観点がちがいますねぇ。
私は食べ物にばかり目がいってました。
彼女が、アイミーさんですか。
(離婚できないカトリックの国で、離婚したマルコスの娘って彼女のこと?)
Posted by harana at May 11, 2006 18:59
5
アイミーさんって、父親の力を借りて略奪愛やった人だと思います。この手の話は詳しくありませんが(笑)。
Posted by ipi-p at May 11, 2006 20:56
略奪愛やった人、うーん、なるほど。
さすが何でもありのフィリピンですね。
(おーっと、こういうことを口走るから、誤解をまねくんですね。
せっかく、そちらのブログでカッコヨクご紹介いただいたのに。)

「さすが、お母様に似て、お美しいですね。」(これでどうでしょう?)
Posted by harana at May 11, 2006 21:03
はじめまして
ちかさんから紹介されて、以前から拝見していました。
いつもharanaさんのブログで、勉強させて頂いています。

私はファブリック関係の仕事をしていて…
アバカにとても興味があります。
手に取って触ってみたいのですが
日本国内でも取り扱っているお店などあるのでしょうか?
Posted by mahal at May 12, 2006 17:19
mahal さん、当ブログにお越しいただき、ありがとうございます。
お名前は、ちかちゃんのブログで時々存じ上げておりました。

お問い合わせの アバカについてですが、日本国内ではかなり難しいのでは? 
当ショップでも、tinalak しか扱っておりません。
フィリピンでも生地として販売されているのはあまりみることはありません。
アバカといっても様々です。もう少し詳しくお伝えしたいのですが、この場は字数が多いとエラーになります。 
よろしければ、左サイドバー上の方から、当ショップにリンクできます。
そちらにメアドかお問合せフォームがあるのでmahalさんのメアドをお知らせいただければ、追ってご連絡します。
Posted by harana at May 13, 2006 01:12