January 28, 2008

◇フィリピンの城壁都市 ”INTRAMUROS”  − [ 奇妙な要塞跡の謎 ]


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《◇フィリピンの要塞跡》というタイトルで紹介したことのある、

Baluarte de San Diego (サンディエゴ堡塁)を再び訪れてみました。



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この奇妙な形をした要塞跡のことは、前回投稿時にはいくら調べても「鋳造所跡」という事くらいしかわからなかったのですが、つい最近になって新たな事実に巡りあいました。

別の事で調べ物をするためにネット検索をしていたところ、「マニラ・イントラムロスに関する研究・調査」と題した学会資料の存在を知りました。

日本建築学会大会学術講演梗概集(1992年8月)に収録されている、小倉 法仁さん(鹿島建設)、大須賀 常良さん(武蔵工業大学)という専門家の方々による報告書のようです。


この資料によれば(抜粋)、
「〜 サンディエゴ堡塁はヴェラ総督(1985年〜1590年統治)が造った砦で、内部に鋳造所があり、スペイン軍の大砲を造っていた。 この大砲鋳造所は鋳型、溶鉱炉を備え、大砲を形成する鋳造工と職人を擁していた。
直径は34mもあり三重の円形と放射状の構造体から成っていた。 円構造の内側には螺旋階段があり、それを下りていくと幾つもの部屋が配置されていて、当時は陶器の表面のように光沢があるサーモンピンクに塗られていたり、テラコッタが貼られていたりした。
位置的には海岸に非常に近く、大砲の鋳造所であったことから建物自体たいへん重かったため、かなり沈下してしまった。〜」 

驚くことに、ここはアメリカ軍の占領時代に埋められ、その上に建物を建て軍事務所あるいは将校の住まいとして使用していたため、現在のサンディエゴ堡塁は、発掘、復元されたものなのだそうです。
土を20m近く掘り下げなければならず、堡塁全体が姿を現すまでの発掘作業には6年近くを要したということですが、「建築学的にも、また考古学的にも非常に興味深い事柄が多数明らかになった」ということで、専門家の目に映ったその「興味深い事柄」が全体平面図、エントランス立面図とともに報告書としてまとめられています。

アクセス先⇒ 国立情報学研究所 という機関の 「NII 論文情報ナビゲーター」の こちら のページ。 同名の資料が2件ヒットしていますが、2番の pdf ファイルのアイコンをクリックすると、報告書にアクセスできます。


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《Baluarte de San Diego and Gardens》


実はこのミスマッチなゲートが堡塁への入り口。

庭はウェディング・レセプションの会場としても使用されています。



この記事へのコメント
元々は地上に露出した建物だったということでしょうか。
埋められていなかったら戦災で破壊されていたかもしれませんね。
Posted by mota at January 29, 2008 20:52
motaさん、
そういうことになりますよね。
イントラムロスは第2次世界大戦で徹底的に
破壊されてしまったということですから。
次回オフ会で、この中探検してみます?
Posted by harana at January 30, 2008 10:14
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拝啓 イントラムロスの件でご紹介頂いた小倉法仁です。友人からの情報でこの事実を知りました。イントラムロスの論文発表はもうすでに16年も前の事なので、今こうしてご紹介頂くと懐かしさと共に、あの当時苦労して調査を行なった甲斐があったなぁとしみじみしてしまいます。当時私はイントラムロス復興の為の提案として、ツーリストの為のシティエアターミナルをイントラムロス内に計画すべく設計提案も行なったりしていました。本当に懐かしいです。この論文や設計計画はイントラムロス管理局にも保管されているはずです。今も家のどこかを探せば資料が出てくると思いますが、当時は青春でしたね。今回はご紹介頂き、本当に有難う御座いました。故大須賀先生もお喜びになられていると思います。御礼まで。敬具
Posted by 小倉 法仁 at March 12, 2008 21:46
☆小倉法仁様、
ご丁寧にお知らせいただき、ありがとうございました。
このような重要資料の事をご本人の承諾を得ないまま、
ご紹介させていただいておりましたので、実は少々
気にはなっておりましたが、こうしてご連絡いただくことができ、
安心いたしました。
現地発行文献にもなかなか詳しい資料が見つからずにおりましたので、
お二人の報告書にめぐり合った瞬間は、驚きと喜びで興奮状態でした。
機会がありましたら、更なる調査のご報告を発表していただけないかと、
望んでおります。
こちらこそ、本当にありがとうございました。

Posted by harana at March 13, 2008 09:48