December 09, 2008

◇フィリピン・キュイジーヌ&レストラン、国際化へ(?)



book restaurant kulinarya



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Sumilon 島 滞在記の途中ですが、食ネタが続いたことでもあり、

久々に「食」に関する本の紹介をすることにします。


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book best restaurant 2008
■ PHILIPPINE TATLER BEST RESTAURANTS 2008

  STYLE MEDIA INC.

  ISBN-13:978-962-7093-81-7
  ISBN-10:962-7093-81-5
  PHP.400.-
  





昨年 も、一昨年 も紹介したレストランガイドの2008年版、"BEST RESTAURANTS 2008" が6月に発行されていました。
(最新年版という意味で年号がタイトルに付く場合、日本ならその年の初め頃に出版されるのが常ですが、フィリピンの場合は事情が違うようで、年度初めでなくてもタイトルにつけた年号のその年内なら平気みたい。)

ネット上でも頻繁に見かける、話題の小洒落たニューレストランが何件も掲載されています。 過去も、ファインダイニングが中心に掲載されていましたが、最新版では更に高級ホテル内の高級レストラン等、クォリティーの高いお店が増えています。

「庶民的」と呼ぶにはほど遠いランクのお店ばかりなのが残念ですが、特別な日のお食事や、接待には充分すぎるほど利用できそうです。

インテリアにもこだわり、ヨーロッパ各国の料理、日本料理、高級中国料理、と世界各国の料理を、それもかなり本格的なカタチで提供するレベルの高いレストランが増えてきたことは、この国の「食・料理」に対する認識が変化してきた表われなのかもしれません。

また、前投稿 でも書いた事ですが、レベルの高い諸外国レストランの登場で、フィリピン料理に携わる料理人達も触発されているに違いありません。 


この本を買った時点では、巻頭のあるコラムがこの国の食に関する意識改革を示唆していたことなど、少しも気づきませんでした。 
本の紹介をしようと、あらためて読んでみると、そのコラムにはフィリピンの食に関するあるプロジェクトが進められているということ、そしてその一環として書籍が発行されるということが予告されていました。
そのプロジェクトのタイトルは、KULINARYA。 書籍のタイトルも同名の KULINARYA。

KULINARYA - それは、先月購入したばかりの本のタイトルでした。



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book kulinarya
■ KULINARYA
  A Guidebook to Philippine Cuisine

  ANVIL PUBLISHING INC. (Oct. 2008)

  ISBN 97127-21090(ハードカバー) PHP.2,500.-
  ISBN 97127-21083(ソフトカバー) PHP.750.-





フィリピン料理を全体的にある水準までレベルアップさせ、それを標準とする。 非営利団体 ASIA SOCIETY PHILIPPINE FOUNDATION INC, そして DOT(フィリピン観光省)、San Miguel PureFoods、Del Monte Philippines Inc., らによる共同「食プロジェクト」− "KULINARYA" の目的です。

世界中から次々とハイレベルな料理が押し寄せるマニラ。 自国の料理も世界に発信したい、とはいえ認知度の低いフィリピン料理を世界に通用させるためには、現状ではレベルが低すぎる、という決定的弱点に気づき、国際的水準に達しなければならないと認識し始めたということなのでしょうか。(勝手な想像です。)

料理界を代表する6名(Glenda Barretto,Conrad Calalang, Margarita Fores, Myrna Segismundo, Jessie Sincioco, Claude Tayag)と、フードライター(Michaela Fenix)、写真家(Neil Oshima)、デザイナー(Ige Ramos)、といずれも各業界ではトップクラスのメンバーが集結し、発案から3年近く費やし、プロジェクトの第一歩であるこの本がリリースされました。
確かにメンバーの名前をみると、錚々たる顔ぶれ。中には当ブログで紹介した人達も(↓)
 ・Glenda Barretto(Via Mare 経営者。 こちら で紹介した本の著者)、
 ・Claude Tayag(彫刻家、家具デザイナー、料理人、この本 の著者)、
 ・Neil Oshima(写真家。 こちら 他、過去に数回紹介済み)



素材選び、下準備、調理、盛り付け、とステップ毎に読み進めていくと、これまでには無かったタイプの料理書であることに気づきます。 例えば、「出来上がりを想定して下準備、調理をすること」とか、「彩(いろどり)を考える」とか、今更?とちょっと笑いそうになってしまいましたが、P国料理の弱点、「見栄え」に対する根本的な意識改革を行おうとしているように感じます。
ビジュアル面からの意識改革、それは国際レベルに達するための必須課題でしょう。

"KULINARYA"、この本は歴史や文化的背景をふまえたフィリピン料理ガイドであると同時に、国際レベルの料理感覚を身につける料理指南書と言えそうです。


未完成ではありながらも、専用 HP まで立ち上げるということは、かなり気合を入れて進められている企画だということがうかがえます。 (企画倒れにならなければいいのですが・・・)

より美しく、より美味しいフィリピン料理を世界に! このプロジェクト、今後の展開が楽しみです。