July 02, 2013

◇ IFEX (国際食品展) フィリピン 2013 - Vol. 3 神の食べ物、Cacao


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[◇ IFEX (国際食品展) フィリピン 2013 - Vol. 2 Calamansi] の続きです。


過去の IFEX で、やたらコーヒー豆の出展が目立った年がありましたが、今回の IFEX 2013 では、「カカオ」 が目につきました。 これまでに出展がなかったわけではありませんが、露出度急上昇です。 
スペインの文化が色濃く残るフィリピンでは、カカオを原料とする Tsokolate (チョコラーテ=ホットチョコレート)を摂る習慣があり、また Champorado (チャンポラード) というチョコレートのお粥がポピュラーな朝食メニューのひとつだったりするので、カカオ自体は昔からなじみのある素材であったはずなのですが、国際食品展にそれほど出展されていなかったのは、もしかしたらこれまでは国内消費だけで、輸出することにはあまり目が向けられていなかったのかもしれません。


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ブログネタにするにあたり、カカオについて調べてみようとググっていると、「日本チョコレート・ココア協会」 と、森永製菓の 「Cacao Fun」 というHPを見つけました。 両サイトともカカオに関する情報が豊富で、更に、多くのイラストや写真入りでとてもわかりやすく解説されています。


会場の様子を報告する前に、まずはカカオの歴史をどうぞ↓ (前出の両サイトから抜粋・要約しています。)

カカオ豆は、インカやマヤ、アステカのルーツである中南米の古代文化圏で紀元前10世紀以前にすでに飲料として利用され、人々の間では大変重宝されたと言い伝えられています。
14世紀に成立したアステカ王国では、カカオ豆は 「ショコラトル」 という名称のドリンクとして、王侯貴族の間で普及していました
1502年コロンブスはホンジュラス付近を航行中にマヤ人の交易商人と会い、交易品のなかにカカオ豆を見ました。そして、スペイン・アラゴンの王フェルディナンドII世に献上していますが、コロンブスをはじめ、誰もカカオ豆に興味を示さなかったようです。
ヨーロッパにチョコレートをもたらしたのはスペイン人エルナン・コルテスです。
コルテスが1519年にアステカから持ち帰ったカカオ豆は、飲み物に加工してスペイン宮廷へ献上されました。そのままでは苦味が強く受け入れられませんでしたが、同時に新大陸からもたらされたバニラと砂糖を加えると、味が程よく整い、その後宮廷と上流階級の間で大流行することになったのです。 コルテスは、カカオ豆を持ち帰ると同時に、現地ではカカオ豆が非常に高価に取引されている光景を目にし、本国スペインでカカオプランテーションの設立を進言します。スペインではこの助言に基づいて中南米や南米、のちにカリブ諸島、フィリピンなど各地にプランテーションをつくり、大規模な生産体制を確立しました。

と、一応フィリピンについても触れられています。 が、残念ながらこれだけです。 (^ ^;

そこで、こちらに頼ることに。(↓)

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Cacao Bean to Bar

  By Pacita U. Juan, Josephine V. Ramos
  and Ma. Regina S. Francisco

  ISBN: 9789712727733

  フィリピンで今年発行されたカカオの本。
  歴史、栽培、加工、レシピ等カカオ情報満載。
  もちろん、フィリピンにおけるカカオ事情も



この本によれば、スペイン人が持ち込んだチョコラーテは、フィリピンにおいてもやはり上流階級層やカトリックの聖職者に好んで飲まれていたそうです。 当初チョコラーテの原料となるカカオ豆は、マニラーアカプルコ間を行き来する ガレオン貿易 で輸入されていたのですが、1821年メキシコ独立でガレオン貿易が終焉をむかえたことによりそれまでの供給ルートが途絶え、フィリピンでの生産が必要になったようです。 国内生産が盛んになったことで、上流階級だけでなく、国全体の一般庶民にもチョコラーテを飲む習慣が広がったのではないでしょうか。 



さて、会場でのカカオ製品の展示風景です。


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ミンダナオ島の特設展示スペース内に設けられたブース。 

カカオ栽培には、ミンダナオの土地が特に適しているようです。





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カカオ製品を扱うブースは、どこもディスプレイに趣向を凝らしていました。





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カカオ豆で使った試食用ブラウニー





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製品化されたホットチョコレート、つまりチョコラーテ




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チョコラーテの素は Tablea/Tableya (タブレア)

(タブレアについてはこちらをご参照下さい →


* * *


これらのブースの出来栄えに貢献したのは、ポスターや装飾品だけでなく、製造過程毎のカカオの状態を展示していたことではなかったかと感じます。 こんな風に ↓ (説明文は、前出の両サイトを参考にしました。)





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ラグビーボールのような形をしたカカオの実は Cacao Pod (カカオ・ポッド) と呼ばれ、厚さ1センチ以上の堅い殻で覆われています。





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カカオポッドの中には、パルプと呼ばれる白い果肉に包まれた30〜40粒の種子、すなわちカカオ豆が入っています。 種子はカカオポッドからパルプとともに取り出して発酵させます。





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発酵の終わった種子は、乾燥させます。





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豆をくだいて皮などを取り除いたものを Cacao Nib (カカオ・ニブ) と呼びます。 これを焙炒してカカオ豆独特の味を引き出します。




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カカオニブには脂肪分(ココアバター)が多く含まれているので、それをすりつぶすと、ドロドロ状態のカカオマスになります。 (写真は固まったもの。 出展者の方いわく、こちらでは昔ながらの手仕事で作業する部分が多いのだとか。)



ここまでは "チョコレート" も "ココア" も製造プロセスは共通、この後用途によって製造方法が異なります。 (この後のプロセスも 「日本チョコレート・ココア協会」 と、「Cacao Fun」 のHPに詳しく解説されています。)

"チョコラーテ" の素タブレアは、カカオマスをコインのような形になる型に入れて冷やし固められます。



カカオの木は陰樹といって、大きくなるまではほかの木の陰で生育させる必要があります。風除けや日除けのための樹木です。 主にバナナやココヤシのような大きくなる木と混栽されます。 
また、カカオ豆を発酵させる際に、バナナの葉を上に被せると発酵が早く進むのだそうです。 バナナもココヤシも豊富なフィリピンは、カカオ栽培にも適しているということですね。

"チョコレート" は世界中で愛され、庶民的なものから、高級チョコまで多種多様。 そのまま食べるだけでなくケーキなどの製菓材料としても、原料となるカカオ豆の需要は増々伸びていることでしょう。 フィリピン産のカカオ豆は、既にヨーロッパやアメリカに輸出はされているそうですが、全世界の生産量の内のほんのわずか。 どうやらフィリピン政府もカカオ産業をバックアップをしているようだし、今後の成長が期待できそうです。

ちなみに、カカオの学名は Theobroma (テオブロマ) cacao といいます。 「テオブロマ」とはギリシャ語で「神の食べ物」 という意味だそうです。



・・・ 続く ・・・



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