February 19, 2015
◇ フィリピンの中華料理とその文化を読む

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旧歴のお正月をより重視するのが中華圏の風習。 今頃世界中のチャイナタウンでは、春節のお祝いでにぎわっていることでしょう。 中国からの移民が多いフィリピンでも Binondo 地区を中心に、中国系ではないPノイ達までもが大いに盛り上がっているはず。 なんたって、お祭り好きで知られた国民ですから。
てなわけで、この時期にはおあつらえ向き (こじつけ?) のネタがあるので、今回はそれを。
フィリピン料理は中華料理の影響を多大に受けていますが、その元となったであろう 「フィリピンにおける中国人移民家族の食」 を紹介した "My Angkong’s Noodles" という本が出版されました。 移民家族に代々伝わる料理、調理法、食文化などについて書かれた貴重で画期的な一冊です。
("Angkong" は、福建の言葉で Grandfather、つまり祖父という意味だそうです。)
My Angkong’s Noodles 《 目 次 》

・Comida China (「中華料理」を意味するスペイン語)
・My Food, My Identity
・Rice
・Noodles
・Taste of Home
・Innovations & Variations
・Medecinal Dishes
・Celebration Dishes
・Desserts & Snacks
・Basics & Essentials
・Recipe Index
目次の段階で、もうすでに料理写真に 「ドキッ!」
それもそのはず。 フォトグラファーは、フィリピン文化を撮ることにかけては右に出る者はいない (と私が勝手に称賛している) Neal Oshima 氏。

美味しそうなお料理が、より美味しそうに思えてしまう写真が満載
写真ばかりでなく、記述の多さにも感動! 各章、各料理にはそれぞれのバックグランドが、また標題に関連した寄稿エッセイなどで、テキスト部分にはかなりのスペースが割り当てられています。 レシピ本の域をはるかに超えた 「読み物」 なのであります。
例えば、Rice 「米」 の章

序論に始まり、数々のお米料理で構成されていますが、その中でも Lugaw (ルーガウ=「お粥」) は主役級の扱いで、トッピングの種類にまでもページが割かれています。

Introduction (序論) と Lugaw (お粥) についての記述

写真と共に Lugaw に関する記述はまだ続いています。
Noodle 「麺」 の章

漢字名の上には Mi Sua Teng という記載、
P料理の Misua (Miswa) の原形であることは明白ですね。
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料理写真だけでなく、調理人達の仕事ぶりをとらえた活気あるショットも

要所要所に配された漢字は、その一文字で (漢字圏の住人には) ページの内容をより強く印象づけます。
フィリピンに行き始めた頃は、先祖が福建からの移民であった中国系フィリピン人ファミリーのお宅に滞在していた関係で、お家でも外食でも中華料理に接する機会が頻繁にありました。 そこで出会ったのは、Cook Do にあるような日本でイメージする中華料理とは別物の中華料理でした。
例えば 「青椒肉絲」、「回鍋肉」 は存在するのかもしれないけど、P国では食べた覚えがなく、「八宝菜」 は どちからといえば中華風フィリピン料理 (Chop Suey) のイメージ。 「麻婆豆腐」 は土鍋入りで一度。 「酢豚」 も多分一度くらい。 そうえいば、「干焼蝦仁(エビチリ)」 も食べてないかも。 スペイン名がついたP料理 Gambas は経験ありですが、中華料理のエビチリとは別物。 スペイン料理の Gambas al Ajillo (エビのアヒージョ) と中華のエビチリがドッキングしたような代物。
"My Angkong’s Noodles" に掲載されているのは、まさしく前出のファミリーと食してきたようなお料理ばかり。 このファミリーはチャイナタウンの Escolta (エスコルタ通り= かつての商業の中心地) にオフィスを構えていて、初めてフィリピンを訪れた時もオフィスの近くのチャイニーズ・レストランでランチをいただきました。 その時のことは こちら にも書きましたが、もうxx年も経つというのに、その時食べたオイスターオムレツと、プリプリの海老を詰めた揚げ豆腐が印象的で今も忘れられません。 「もしかして」と、この本での再会を期待してダメ元で探してみると、

Oyster Cake - O Ah Jien - 蚵仔煎

Stuffed Tofu - Ji Tao Hu - 鑲豆腐
あった! (*_*)
しかも、両方!!
見た目はちょっと違うけどね、特にエビ詰め揚げ豆腐は。 今でも覚えていますが、豆腐の上中央部分は詰めたエビでこんもりと盛りあがっていました。
"My Angkong’s Noodles" の料理写真を見ていると、中国系ファミリーとの食事が思い出されます。 しばらくご無沙汰しているので、次回は絶対に一緒に食事をする時間を作らなきゃ。
中国系の皆様、よい春節休暇をお過ごしください。

■ My Angkong’s Noodles
発行人:Elizabeth Yu Gokongwei
ライター:Clinton Huang Palanca
フォト:Neal Oshima
レシピ:Ginny Roces de Guzman
レシピブックとしても、フォトエッセイとしても
楽しめます。
民俗学の研究にも役立つかも。
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