March 12, 2008
◇フィリピンの "コーヒーに関する本"

・.☆°・.。*.°・.。★・.°*。・ ☆・.
ワールドワイドなチェーン店をはじめ、数々のカフェが氾濫する首都マニラの
現状からは、『コーヒーをオーダーすると、瓶入りインスタント・コーヒーと
お湯を入れたコーヒーカップが ”フツー” に出てくる』、ということが
”フツー”だった時代があったなんて信じられないくらい。(今でもあるけど)
フィリピンのインスタント・コーヒーは、第2次世界大戦中にアメリカ兵が眠気
覚ましとして飲んでいたのが、戦後、一般消費者向けに広まったようです。
* * *
さて、つい先頃インスタント・コーヒーメーカーの代名詞のような Nestle 社の
フィリピン上陸70周年を記念して、とても素敵な本が出版されました。

《 kapihan: A Celebration of Coffee in the Philippines 》
コンテンツはフィリピンにおけるコーヒー史や、コーヒー豆の品種・産地、
栽培などに関する資料的なものから、お家でできる”コーヒー・ローション”、
”コーヒー・ボディスクラブ”、”コーヒー石鹸”、"コーヒー染め"、とコーヒーの
珍しい活用法が紹介されていたり、レシピにいたってはドリンクやデザートだけ
でなく、トップシェフによるコーヒーを使ったお料理まで掲載されています。
中には、"コーヒー Adobo(アドボ)" なんていうユニークな一品もあったり。
写真は、こちら や こちら でも紹介した Neal Oshima 氏によるもの。
発行元の HP には、この本の一部が紹介されています。
* * *
インスタント・コーヒーがポピュラーなフィリピンなのですが、かつては世界でも
有数のコーヒー生産国であり、輸出高は世界第4〜5位であったというから驚きです。
インドネシアから広がったコーヒーの伝染病で、フィリピンのコーヒーは壊滅状態に
陥り、その後しばらくの間は世界舞台から姿を消していたようです。
このようなフィリピンのコーヒー事情についてはあまり知られてはおらず、
またその資料・文献自体も少ないということから、次に紹介する2冊もこの国の
コーヒー事情を知る上では、大変貴重なものであることに間違いないでしょう。

著者: 麻生 洋央
出版: 未来文化社 (1995/06)
ISBN-10: 4947546859
ISBN-13: 978-4947546852
日本で入手できるフィリピンの情報がまだ乏しかった1975年、次々と起こる不思議な出来事に遭遇しながら、全滅したはずのコーヒー豆をルソン島の山奥で苦闘の末に発見する日本人青年の体験記。 要所要所にフィリピンの習慣、文化が描写されていて、間接的にこの国の日常生活を垣間見ているような気がします。
*

著者:Chit Juan
出版:Anvil Publishing (2005)
ISBN:971-27-17178
2006 Gintong Aklat 賞 受賞
著者は、フィリピンの 100% ローカル資本のコーヒーショップチェーン Figaro の CEO。 ”Save the Barako" - 現地で Barako(バラコ)と呼ばれる収穫量の極端に少ない LIBERICA 種の危機を救うべく立ち上がった筆者。 国内コーヒー産業の発展に注ぐ情熱が伝わってきます。
*

著者:Noel Sy-Quia
写真:Neal Oshima
出版:ArtPostAsia (2008)
ISBN:978-971-93896-1-3
*
"kapihan" を入手した後、"まぼろしの珈琲"、"Barako" に再度目を通しました。
すると、これらは一冊一冊がそれぞれ素晴らしい内容なのですが、まるで
失くしてしまったジグソーパズルの数ピースが突然見つかり、ぴたっと空白の
部分を埋めて一枚の絵が完成した、そんなスッキリ感を覚えました。
・.☆°・.。*.°・.。★

↑伝統的織物と思われる布のポーチに入ったコーヒー。
確か、”Kalinga (カリンガ=ルソン島北部)コーヒー ” だったはず。
あるイベントで見つけて、可愛いポーチに惹かれつい買ってしまいました。
この記事へのコメント
お久しぶりです。またとても懐かしい記事ですね。自分が小学校に入る前のころ、生まれ育った小さな農場の家の周りに何本かのbarako珈琲の木がありました。豆が大きいです。少ない量ですが、自分達で珈琲を作っていましたね。珈琲の飲み方も、粉沸かしている水に入れてそのままフィールターせずにコップにいれます。珈琲の粉が入ったまま飲みます。原始的といえばそうですが、今思い出すとすごく懐かしいです。
ちなみに、barako というタガログの言葉の意味はご存知でしょうか。
ちなみに、barako というタガログの言葉の意味はご存知でしょうか。
Posted by dungawan at March 14, 2008 21:51
☆dungawanさん、
お家で消費するくらいの少ない量の珈琲作りとは、ある意味贅沢ですね。
乾燥やローストも、大量生産とは違ったご家庭独自の方法があるのでは?
barako というのは male, strong というような意味があると認識しているのですが。
お家で消費するくらいの少ない量の珈琲作りとは、ある意味贅沢ですね。
乾燥やローストも、大量生産とは違ったご家庭独自の方法があるのでは?
barako というのは male, strong というような意味があると認識しているのですが。
Posted by harana at March 15, 2008 07:52
はじめまして。この記事の本がどうしても読みたくてこれから来る友人にメールしてしまいました。友人が本を持ってフィリピンに来てくれる日が楽しみです。
Posted by anakpinoy at March 25, 2008 11:55
☆anakpinoyさん、
「まぼろしの珈琲」(のことですよね?)は、出版されてから年月が経っていますが、
大変興味深い一冊で、現在でも一押し、オススメです。
在比の方にもお役にたてて、嬉しい限りです。
お読みになった後、ご感想などお聞かせいただければ、幸いです。
今後とも宜しくお願いします。
「まぼろしの珈琲」(のことですよね?)は、出版されてから年月が経っていますが、
大変興味深い一冊で、現在でも一押し、オススメです。
在比の方にもお役にたてて、嬉しい限りです。
お読みになった後、ご感想などお聞かせいただければ、幸いです。
今後とも宜しくお願いします。
Posted by harana at March 26, 2008 02:14
barakoコーヒーはアラビカ種でしたか?
ネグロス島によく行くのですが、ホテルのコーヒーがとてもおいしかった。ねっとりしているけれど、強すぎず、真っ黒でいくらミルクを入れても、なかなか茶色にならなくて。よくネグロスの市場で焙煎しているコーヒーを買ってきて、家で飲みます。とてもおいしいのに、ちょっとした飲食店に行くと、インスタントのほうがBrewed Coffeeより高くて不思議な気分。でもそれがBarakoなのか、ネグロスの一部(コーヒー畑がある)で栽培されているアラビカ種なのか分からないのですが。
ネグロス島によく行くのですが、ホテルのコーヒーがとてもおいしかった。ねっとりしているけれど、強すぎず、真っ黒でいくらミルクを入れても、なかなか茶色にならなくて。よくネグロスの市場で焙煎しているコーヒーを買ってきて、家で飲みます。とてもおいしいのに、ちょっとした飲食店に行くと、インスタントのほうがBrewed Coffeeより高くて不思議な気分。でもそれがBarakoなのか、ネグロスの一部(コーヒー畑がある)で栽培されているアラビカ種なのか分からないのですが。
Posted by sugarlandiya at April 04, 2008 18:18
☆sugarlandiya
Barako は、リべリカ(liberica)種です。
現在はミンダナオ島でも栽培しているそうですが、
フィリピンで栽培されているコーヒー豆は、
Robusta種 71%、
Arabica種 20%、
Excelsa種 8%、
Liberica種 1%
という比率だそうです。(2005-2006年)
(と、↑の本に書いてありました)
Barako は、リべリカ(liberica)種です。
現在はミンダナオ島でも栽培しているそうですが、
フィリピンで栽培されているコーヒー豆は、
Robusta種 71%、
Arabica種 20%、
Excelsa種 8%、
Liberica種 1%
という比率だそうです。(2005-2006年)
(と、↑の本に書いてありました)
Posted by harana at April 05, 2008 14:59