March 08, 2013
◇フィリピンのプロビンス、Bohol (ボホール) のビンテージハウス

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先日 ”◇フィリピンのプロビンス、Central Visaya (中部ヴィサヤ)地方、Bohol へ [Vol.14 Ancestral House]” に投稿したように、BAHANDI による ”Heritage Walk” (歴史的建造物や伝統的文化に触れるウォーキングツアー) に参加して Baclayon の Heritage House (先祖代々の家) 3軒を見学しましたが、このような古い家屋は Baclayon には 60軒以上、Bohol 島全体では500軒以上が確認されているそうです。
Bohol 島の40か所以上の町で、スペインおよびアメリカ統治時代に建てられた家屋を調査し、その結果をまとめた本があります。
その名も Casa Boholana: Vintage Houses of Bohol
著者は Bohol 出身の女性社会学者 Czarina Saloma と、ご主人であるドイツ人の建築家 (特に保存のスペシャリスト) Erik Akpedonu. この本には、著者のバックグラウンドが影響してか、Bohol の家屋を社会学的見地からとらえた報告がなされているとのことです。
ところで、タイトルが示すように、この本の中で調査・報告されている家屋は、"Ancestral House" ではなく "Vintage House" と表現されています。 一般的な意味合いでは "Ancestral House" に間違いないはずですが、フィリピンでは 歴史的・文化的遺産を奨励・保護・保存する NHCP (National Historical Commission of the Philippines) という機関があり、この機関が古い家屋を国家的 Heritage House として認定する場合、様々な条件を満たしていなければなりません。 例えば、「歴史的、社会的、文化的、芸術的に重要な建造物であること」、「大規模な改築がされておらずオリジナルの姿形を最低75%保っていること」等々。 調査対象は、いくら古くてもこれらの条件を満たしていない家屋も多く、国家の意味するところの Heritage House とは異なることから敢えて Vintage House という表現方法が用いられているようです。
さて、内容はというと、大きく分けて二つのパートから構成されています。
パート1: 建築調査からのデータ分析 (調査方法、歴史、所有者の社会的背景、使用状況、問題、家具調度品、大工・建築家、税、改築と復元、etc)
パート2: 豊富なカラー写真と共に、研究を通して確認された508軒の内、300軒の家屋を地域別に紹介
ちなみに Baclayon の項では、存在する約60軒の内、25軒のビンテージハウスについて何らかの記載がありました。 見学した3軒なんて、ほんの一部だったわけです。 やはりもう一度行かねば!
貴重な調査内容もさることながら、表紙、見返し、扉、目次、もちろん本文にも、あらゆる箇所に、calado (カラド=明かり採りや通気のための透かし模様装飾)、capiz window (カピス窓 =カピス貝の格子窓)、ventanilla (ベンタニージャ=上部のメインの窓 『Ventana ベンタナ』 に対して、サブ的な役割を果たしている下部の窓) の柵など、フィリピン建築の特徴であるパーツのモチーフをイラスト化したものが配されていて、この事実がより一層読書意欲をかりたててくれます。


本文を読まずとも、パラパラとページを進めていくだけでウキウキしてしまう一冊です。
ダメもとで Amazon をチェックしてみると、珍しくアメリカのみならず日本のサイトでもヒットしました。(↓)

■ Casa Boholana: Vintage Houses of Bohol
著者:Erik Akpedonu
Czarina Saloma
出版社: Ateneo De Manila Univercity Press
(2011/12/30)
言語:英語
ISBN-10: 9715506186
ISBN-13: 978-9715506182
ペーパーバック: 470ページ
P国現地に比べると、Amazon での価格は少々 (いや、かなり) お高いですが、興味のある方は是非どうぞ。 → ★
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