March 22, 2016
◇フィリピンの手織物 "Abel (アベル)" のすべて

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コットンを素材とする Ilocos 地方の布 Abel は、Galleon 貿易時代には輸出用として随分取引され、丈夫で耐久性があることから、帆布としても重宝された伝統的手織物です。
毎年2回マニラで開催される国際見本市 Manila FAME においても、特に最近 Abel が目立つ存在であることは間違いありません。
<2015年10月 Manila FAME にて>



と、ここまでは 以前 にも掲載したことのあるブースなのですが、
注目したいのは、

こちらのブース

この本、ディスプレイ用の小道具かと思いきや、

壁一面が、こんなことに

INABEL
PHILIPPINE TEXTILE FROM THE ILOCOS REGION
Abel のすべてが語り尽くされた書籍が発行されたばかりで、そのPRを兼ねたブースなのでありました。 もち、即買いしたことはいうまでもありません。
内容の一部をご紹介

目次
Introduction
Ilocos And Inabel
Sturdy And Resplendent, Inabel : The Ilocos Textile Tradition
Design Techniques And Weaving Centers
Ules In The Life Cycle Of An Ilocos
Inabel Evolving With The Times
Bibliographical Notes
Glossary
Index
About The Authours
Acknowledgment

Abel の柄や色は、水、風、植物など自然界がモチーフ

Introduction のページに起用されているのは、先祖の霊の使者とも言われる Sinan gikgik (二頭を持つ黄色脚の鳥) のパターン。 1800年代後半の作品 (左) と現代の復刻版 (右)

Naka kabalyo nga prinsipe ken armatika
相当数のページを割いて80種類以上もの Abel が掲載されています。 つまり様々なデザインパターンが紹介されているということなのですが、細部の拡大図付きというのは読者にとってありがたいものです。
こちらのデザインは、「馬に乗る王子」 と幾何学的なパート 「糸巻き器」 のモチーフのコンビネーション。 1900年代中期の作品。

表・裏表紙の内側 (見返し): ブランケットに表現された 「小さな薔薇と蟹」 のモチーフ 。 1800年代後期の作品。
表紙・裏表紙カバー: 浮き出たような模様を織り出す pinilian という手法を用いて、単色で表した 「星」。

織機についても詳しく記述されています。 パーツ名が英語と現地名で表記されているのは、何かと便利。

Atsuete (アナトー=ベニノキの種子)、木の表皮、土着の藍等の自然素材を用いた伝統的な染色手法を解説するページ。

FROM THE ILOCOS REGION
著者:Al Valenciano, Regalado Trota Jose, Dr. Norma Respicio Michael Manalo, Hannah Cunanan, Rene Guatlo
発行:ArtPostAsia, Inc.
ISBN :978-971-0579-30-3
学者や専門家による記述、数多くのカラー写真で、1800年代から現在におけるまでの Ilocos 地方の手織布文化を学ぶことができる貴重な一冊です。
Abel が登場するその他の投稿はこちら (↓)
◇IFEX (国際食品展) フィリピン 2015 - Vol. 4 「布」 (2015/8/3)
◇フィリピンの伝統織物 "Abel (アベル)" (2015/3/5)
◇フィリピンの伝統織物を見に行こう [後編] (2014/10/1)
◇フィリピンの伝統手織物への旅 (2014/6/2)
◇フィリピンのトレード・ショー、 "MANILA FAME 2014/03" < 2 > (2014/5/26)
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