May 25, 2012
◇フィリピンのオールドハウス大集合 [ Vol. 8. 賛否両論 ]
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[ Vol. 7. CALADO (カラド) ] の続きです。
Bataan 州 Bagac の町に位置する Las Casas Filipinas de Acuzar には、フィリピンの伝統的建築物が大集合しています。
建設業を経営するオーナー、Acuzar 氏所有の400ヘクタールという広大な土地の一角に移築・復元されたフィリピン各地のオールドハウス達。 元の家の持ち主から買い受け、丁寧に解体し、移築したもの。 廃屋同然の家を修復したもの。 ジャンクショップに売られているパーツを寄せ集め、古い写真を参考に復元したもの。 いずれにせよ、朽ちかけていた伝統的家屋がこの地で息を吹き返したことにかわりはありません。
《 Casa Cagayan 》
《 Casa Jaén 》
テーマパークのようなこの施設、 「一度に何軒ものオールドハウスを見ることができる♪♪♪」と、全く単純な受け止め方をしていたのですが、現地に行くにあたり、ネットで情報を仕入れていてわかったことがありました。
《 Casa Hidalgo 》
(The first School of UP College of Fine Arts)
《 Casa Binondo 》
フィリピン国内においては、この施設について全く論争がないわけではなく、つまり否定的な意見を唱える人もいる、ということです。
その家屋が持つ過去や、歴史的に重要なロケーションを Acuzar 氏は根こそぎにした、と主張する自然保護論者もいるということです。
《 Casa San Miguel 》
《 Casa Tondo 》
「歴史的背景も含め、あるべき場所にあってこそ、その建物が存在する意味がある。」 という考えも、確かに一理あるでしょう。
しかし、古い家屋を維持していくには当然ながら費用が伴います。 修復・維持する金銭的な余裕がない場合、あるいは持ち主が先祖から受け継いだ伝統・文化をたいして重要視していない場合、せっかくの歴史的建造物も朽ち果ててしまうだけ。 安全性の面からも、取り壊しを余儀なくされるかもしれません。 それならば、Acuzar 氏のような人物に買い取ってもらい、たとえ別の土地であってもその姿を残す事が最善の策ではないか、という考えの持ち主もいるようです。
《 Casa Baliuag 》
《 Casa Meycauayan 》
つい数日前なのですが、あるPノイブロガーさんの投稿が目に留まりました。 そこには現マニラ市長、Alfredo Lim 氏へのメッセージが記されていました。
現在マニラ市内では、スペイン、アメリカ統治時代に建てられた建造物が取り壊されている、または今後の解体リストに名を連ねているとのことです。
それらの建造物は、「スペイン時代に建てられた」、「第2次世界大戦にも生き残った」という歴史的価値だけでなく、建築上重要で価値あるものではないのか、とPノイブロガーさんは言います。
National Cultural Heritage Act (国家文化遺産法?) により、最低50年またはそれ以上を経過した建物を解体するには、National Commission for Culture and the Arts (NCCA・ 国家文化芸術委員会?) の同意が必要なのだそうです。 NCCA は解体を承認する前に、まずその建物を評価するというプロセスを踏みます。
スペイン、アメリカ統治時代の建物は当然50年以上前に建てられているのですから、法によって保護されているはずなのです。 がマニラ市の建築関係のお役人は、必要なプロセスなしに、NCCA の書面による承認もなしに、戦前の重要な遺産の取り壊しを許可しているらしいのです。 Pノイブロガーさんは、これ以上被害が大きくなってしまう前に解体を停止してほしい、と Lim 市長に訴えかけているのでした。
くしくも 5 月は National Heritage Month (国家遺産月間?) だそうです。
・・・ 《 フィリピンのオールドハウス大集合・完 》 ・・・
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09:30
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May 21, 2012
◇フィリピンのオールドハウス大集合 [ Vol. 7. CALADO (カラド) ]
[ Vol. 6. 通気孔 ] の続きです。
もう飽きた、とお思いの方もおられることでしょうが、まだパーツの話題は続きます。(^ ^;
今回は 「CALADO (カラド)= 透かし模様」 がテーマ。 CALADO は、P国のナショナル・コスチュームである "Barong Tagalog (バロン・タガログ)" やウエディングガウンにほどこされる伝統的な刺繍の技法として知られています。 布の縦糸や横糸を部分的に抜き取り、残った織り糸をかがったり束ねたりすることで透かし模様を表現するのですが、どうやら刺繍だけでなく、建築に使用される透かし模様の装飾も同じように CALADO と呼ばれているようです。
(刺繍の CALADO に関する投稿はこちら → ★)
Las Casas Filipinas de Acuzar は、 この CALADO でも楽しませてくれました。
例えば、この正面の建物や右手前のテラス。
Casa Bizantina
扉の上の明かり採り兼通気孔、二階窓の上にも透かし模様。
Vol.2 に登場したCasa Mexico の二階入口に続くテラス
* * *
ここからは、欄間シリーズ、ついでに天井の装飾も。
部屋と部屋の間の壁には欄間が多く見られます。 通気性を考えた、暑い国ならではの工夫が感じ取れます。
こんな所にまで!?
ストリート・フードの屋台!?
多分、特別に作ったものでしょうね。
あそこ で見たのと同じような透かし模様付きの日よけ。
オールドハウスは、パーツに焦点をおいて見学するのもまた楽しいものです。
パーツにばかり気を取られ過ぎて、どれがどの家のパーツだかよくわからなくなってしまいましたが・・・ (^ ^;
・・・ 続く ・・・
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10:13
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May 15, 2012
◇フィリピンのオールドハウス大集合 [ Vol. 6. 通気孔 ]
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[ Vol. 5. アラベスク ] の続きです。
あの時 以来、気になってしょうがないこのパーツ。
オールドハウス見物時の必須アイテムになってます。
軒に描かれたように見える連続柄、実は通気孔。 (詳細はこちら → ★)
まるで切り紙細工か万華鏡の模様みたいですね。 凝りもせず、上を見上げては写真撮りまくり。 Las Casas Filipinas de Acuzar は、このお洒落なパーツたちの宝庫なのでした。
↓ 以下、通気孔コレクションです。 興味ないって方は、ご遠慮なくスルーしちゃてくださいね。(^ ^;
これなんかは、切り紙・万華鏡というよりはレース。
こちらのお家は、軒の通気孔だけでなく、
窓の上には、通気孔兼明かり取り。
屋根の上の飾りにもご注目。
かなりくたびれてますが、それ故歴史を感じます。
* * *
通気孔ネタは、こちら (↓) にも
◇フィリピンの城壁都市 ”INTRAMUROS” − [ フローラル・モチーフ ]
◇フィリピンのプロビンス、Central Visaya (中部ヴィサヤ)地方へ 2010 [Vol.14 B & B]
◇フィリピンのプロビンス、Batangas (バタンガス)州、Taal (タール) の町へ [Vol. 7 Parts ]
◇フィリピンのプロビンス、Quezon (ケソン)州 へ [Vol.10 Sariaya (サリアヤ) の Don Catalino Rodriguez House 1/2 ]
* * *
通気孔には花をモチーフにしたデザインが多いのですが、オールドハウスには通気孔以外にも、家じゅうに花をモチーフにしたパーツが目立ちます。
こんなのもいいね。
・・・ 続く ・・・
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May 09, 2012
◇フィリピンのオールドハウス大集合 [ Vol. 5. アラベスク ]
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[ Vol. 4. 宿泊施設 ] の続きです。
オールドハウス見物のお楽しみの一つは、家中に施された装飾パーツ達。
ここ Las Casas Filipinas de Acuzar にもお楽しみがいーっぱい ♪♪♪
[ 「またかよぉ」 とお思いの方、すみません。 趣味なのでつい (^ ^; ]
例えば、アイアンワーク。
それらの多くはアラベスクパターン。
窓はもちろんのこと、
扉にも
これは、ベランダへと続く扉。
* * *
最も多く用いられているのは、
Ventanilla (ベンタニージャ)かも。
[ Ventanilla = 上部のメインの窓 (Ventana ベンタナ) に対して、サブ的な役割を果たしている下部の窓。]
これでも、ほんの一部です。
* * *
ベランダも。
時には、太陽が
実物以上のアラベスクを映し出してくれることも。
* * *
サインボードも。
こちらはビューティーサロン。
* * *
アイアンワークは通気性の点からも、暑い国にはぴったり。
パーツの事を言い出したら、一度の投稿では足りません。
当ブログに長年お越しいただいている方は、おおよその見当は
ついておられるでしょうけれど。 そう、次はあれです、「あれ」
・・・ 続く ・・・
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May 02, 2012
◇フィリピンのオールドハウス大集合 [ Vol. 4. 宿泊施設 ]
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[ Vol. 3. レストラン ] の続きです。
Las Casas Filipinas de Acuzar に建つオールドハウスのいくつかは、宿泊施設として利用されています。
例えば、かつての経済の中心、エスコルタ通りのビジネスビルを模した Paseo de Escolta (パセオ・デ・エスコルタ) は、コンパクトな少人数向けタイプの部屋が数種類用意されています。
少人数向けとはいっても、ファミリーで使用できるようなタイプも揃っています。
こちらのタイプは、一階は Sala (サラ=リビングルーム)、
二階にはミニテーブルと
ベッド一台。 奥はバス&トイレ。
ロフト付きで、幅の違うベッドが2台。 ダブルとセミダブルくらいかな? このタイプならファミリーでも (人数にもよりますが) 十分使えそうです。
*****
また、オールドハウスを丸ごと一軒借りることもできます。
石造りの家 Bahay na Bato (バハイ・ナ・バト)タイプの一軒家
本来、一階の石造りの部分は馬車置き場や倉庫として使用され、リビング、ベッドルーム等の生活スペースは二階に配置されているのですが、ここでは宿泊施設らしく一階もリビングやベッドルームに改造されています。
二階にはベッドルームが何部屋もあるような豪邸まで借りることができます。
実は、一気に何軒も見学したので、どの家がどうだったのか区別がつかなかったりと、かなり記憶が曖昧になってきました。 (^ ^;
なので、これくらいで・・・、フェイドアウトします。 (^ ^;
・・・ 続く ・・・
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April 26, 2012
◇フィリピンのオールドハウス大集合 [ Vol. 3. レストラン ]
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[ Vol. 2. レセプション ] の続きです。
Casa Mexico 2階のレセプションで Las Casas
Filipinas de Acuzar の入場手続きを済ませ、
階段を下りると左手に見えるのは Casa Unisan.
オリジナルは 1839年に Quezon 州 Unisan に
建てられた Bahay na Bato (バハイ・ナ・バト=
石造りの家)で、この地に復元されたのは2007年。
現在は、伝統的スペイン風フィリピン料理を提供する
レストラン "Cafe Marivent" として使用されています。
Bahay na Bato の一階は、本来馬車置き場や倉庫と
して使用されるものなので暗いイメージがありましたが、
いくつもの大きな窓からは陽が差し込み、それも カピス
ウインドウ なので、店内はとても明るい雰囲気でした。
こちらはオーシャンビュー
残念ながら、店内の見学だけでお食事はしていません。
次回はスペイン風のご馳走を味わってみたいものです。
・・・ 続く ・・・
《 Casa Unisan 》
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10:33
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April 19, 2012
◇フィリピンのオールドハウス大集合 [ Vol. 2. レセプション ]
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[ Vol. 1. 住宅展示場!? ] の続きです。
Las Casas Filipinas de Acuzar を見学するには、
まず Casa Mexico という建物の2階にある
レセプションで入場手続きをする必要があります。
《Casa Mexico》
この Casa Mexico は、実在した家を移築した
のでも、再建したのでもありません。 なんと、
ジャンクショップで売られていた古い家屋の廃材を
集め、昔の写真を参考にして建てられたそうです。
廃材の寄せ集めには見えないですね。
では、2階に上がってみましょう。
2階入り口前には、建物の色とお揃いのロッキングチェア。
これもジャンクショップ経由? 後からペイントしたのかも。
ゴージャスな天井に、
伝統的衣装を身につけた P-ナさん達。
ノスタルジックな雰囲気が漂います。
くっそ暑いのに、イントラムロスにありそうな
あのゲートからこの建物まで歩くのはキツイわ。
まずはサービスのアイスティーでのどを潤す。
三方の窓からは、いくつものオールドハウスが見えます。
ワクワク♪ 待ちきれない! 一息ついたら、ツアーに出発!
・・・ 続く ・・・
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10:43
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April 13, 2012
◇フィリピンのオールドハウス大集合 [ Vol. 1. 住宅展示場!? ]
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マニラから北西に約 150km、NLEX (North Luzon Expressway)、SCTEX (Subic-Clark-Tarlac Expressway) を利用して、Bataan (バターン) に行ってきました。
ハイウエイは混雑もなく、しっかり舗装されていて、超快適!
”バターン”と聞くと、どうしても戦時色の濃いイメージ (「バターン死の行進」) がありますが、戦争記念碑を見物しに行ったわけではありません。
ハイウエイを降りたあと、更に山を越え、Bagac という町へ。
イントラムロスにありそうな石造りのゲイトをくぐると、
広大な敷地には、あちらこちらから集められたフィリピンの古い家屋が移築されていて、まるで住宅展示場。
かつての経済の中心地、エスコルタ (Escolta St.) を模した街並みや、
カレッサ (馬車) も。
ここは、 Las Casas Filipinas de Acuzar という、オールドハウスの博物館。 建物のいくつかは宿泊施設、レストランとして実際に使用されていて、ライブ版博物館といったところでしょうか。 バックには山々、田畑、海へと続く川と壮大な自然風景がひかえています。
昨年の11月に訪れたものの写真の整理ができていなくて、投稿が今頃になってしまいました。 かなり記憶が曖昧になってきていますが、写真を見ながら現地の事を思い出し、何度かに分けて投稿していこうと思います。
・・・ 続く ・・・
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Posted by harana at
09:41
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